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ナラガシワ [木本Q]

ナラガシワ (Quercus aliena) は岩手・秋田以南に生育するコナラ属コナラ節の落葉高木である。宮城・福島では河川沿いや池沼周辺、砂丘列の上など、水域の周囲に生育しているが個体数は非常に少ない。西日本では中国山地に大変多く生育しているということである。

城ナラガシワ1.jpg葉の形はどちらかというとミズナラに似ているが、ミズナラよりかなり大きく長さ20cm以上になるものも多い。ミズナラやカシワと異なり、1cmくらいの葉柄がある。

 

 

 

 

 

城ナラガシワ2.jpg

 角田ナラガシワ2.jpg

 

 

 

 

 

 

写真は8月中旬、白石城。殻斗付き果実は角田市産。

角田ナラガシワ1.jpg角田ナラガシワ3.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

角田市の民家脇に生育していた木の果実、長さは35mmくらいで、左は基部を下にして立てることができるが、右は立たない。

ナラガシワ基部1.jpgナラガシワ基部2.jpg

 

 

 

 

 

 

ナラガシワ基部3.jpg

 

 基部、コナラに比べると基部の面積がかなり大きい。

 

 

 

 

 

 

ナラガシワ基部4.jpg

 

 

 

 

 

 

 

ナラガシワ殻斗1.jpg

殻斗を内側から見たところ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ナラガシワ殻斗2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

殻斗を横から見たところ。鱗片の中央が極端に突出しているのはミズナラとそっくりである。

ナラガシワ殻斗3.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殻斗を柄のほうから見たところ。

ナラガシワ殻斗4.jpg

殻斗の断面。中の壁はやや外側に向かって開いている。

 

 

 

 

 

 

ナラガシワ柱頭1.jpg

ナラガシワの柱頭。

 

 

 

 

 

 

 

 

ナラガシワ柱頭2.jpg

白い毛が密生している。

 

 

本記事で扱った個体は、さく葉標本が東北大学植物園に納められています。

 

 

 

 

 

 

 

 


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ツノハシバミ [木本C]

ツノハシバミ (Corylus sieaboldiana )は全国の山地に生える落葉低木。果苞は先がくちばし状になり面白い形をしている。

白石城ツノ3.jpg宮城県白石市白石城の斜面に生えるツノハシバミ。果実が全部堀に落ちてしまうのでもったいない気がする・・・

不忘ツノ1.jpg

 

 

 

 

 

 

 

取り出した堅果(写真の果実は白石市不忘産)は円錐形(背景の一マスが1mm)

不忘ツノ2.jpg不忘ツノ3.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不忘ツノ4.jpg不忘ツノ5.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

果実基部のへそは大きく、境目が少しへこむ。

不忘ツノ7.jpg不忘ツノ6.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

基部との境目の線は緩い凹凸がある。上半部果皮には白い毛が密生し、花柱に近づくと濃くなる。

不忘ツノ8.jpg

果皮の拡大。クリのような目立つ縦筋はみられない。


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アズサバラモミ [木本P]

アズサバラモミ(Picea maximowiczii var. senanensis)はヒメバラモミの変種、長野県川上村の梓山に自生する。球果は9センチで細長い。

bアズサバラモミ1.jpgbアズサバラモミ2.jpg

 


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ヒメバラモミ [木本P]

ヒメバラモミ(Picea maximowiczii)は八ヶ岳、南アルプス仙丈ヶ岳、奥秩父に自生し、個体数も少ない。八ヶ岳の山梨県側には神社などに植栽されている場合がある。球果は日本産トウヒ属の中で最も小さいとされ、2.5~4.5センチ、ただし南アルプスなどでは5,6センチのヒメバラモミもある。

bヒメバラモミ1.jpgbヒメバラモミ2.jpg

写真の球果は山梨県。葉っぱの断面は菱形で四面に気孔条がある。

追記:森林総研の勝木氏の研究によると、隔離分布しているヒメバラモミとアズサバラモミは系統的には同一種であろうという見解であった。

また、絶滅危惧種の救済としてヒメバラモミの種子育苗テストが行われ、育成された苗木を2011年12月に古代の森研究舎で2本譲り受けた。冬は-10℃近くになり夏はまあまあ冷涼という八ヶ岳山麓と似た気候である蔵王山麓に元気に育ってくれるといいのだが。(2012冬)

hime.jpg


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エゾマツ [木本P]

エゾマツ(Picea jezoensis)北海道の針葉樹林の主要構成種。球果は円柱形で4~8センチ、1年で熟す。写真の球果は北海道。

bエゾマツ1.jpgbエゾマツ2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉っぱの断面は、トウヒ属の中でトウヒとエゾマツだけが扁平で表面だけに気孔帯が2本ある。


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ヤツガタケトウヒ [木本P]

ヤツガタケトウヒ (Picea koyamae) は本州の八ヶ岳山麓の一部谷沿いに生育する稀産種で日本の最終氷期の遺存植物と言われている。西岳国有林の群生地に訪ねたが、見渡してもそれほど多いわけではない。球果は4~8センチ。

bヤツガタケトウヒ1.jpgbヤツガタケトウヒ2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉っぱの断面は菱形。

多くの図鑑には、ヤツガタケトウヒとヒメマツハダが別種として取り扱われていますが、森林総合研究所勝木氏による八ヶ岳における数年間の調査で、球果の形態の違いが同一種の年較差であることが判明し、すべての個体がヤツガタケトウヒとなりました。


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アカエゾマツ [木本P]

アカエゾマツ(Picea glehnii)は北海道と本州の早池峰山頂上付近のみに生育し、日本の最終氷期の遺存植物と言われている。北海道では海岸付近の湿地の中にも生育し、東北海道では湾内の浮島(海水の上に腐植した植物の塊が浮いている)に数十メートルのアカエゾマツが何本も生育している不思議な島もある。したがって塩水に大変強い植物である。

球果は長楕円形で5~9センチくらい。種鱗の縁は波打っている。

bアカエゾ1.jpgbアカエゾ2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真の球果は北海道。右は球果基部から見たところ。ちなみにアカエゾマツの葉っぱの断面は菱形で四面に白い気孔条がある。

DSC01152.JPG

古代の森研究舎敷地内に植えてあるアカエゾマツの幼木、樹高2メートルくらいだがまだ花が咲かない。

DSC01153.JPG

 

 

 

 

 

 

 

葉は針状で先端が鋭く尖る。枝には全方向に葉が付く。

DSC01154.JPG枝の拡大、葉の付け根を見ると、枝の一部が突出し葉柄がない葉がついているのがわかる。茶色く突出した部分を葉枕(ようちん)と呼ぶ。すべてのトウヒ属に葉枕がある。


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トウヒ [木本P]

トウヒ(Picea jezoensis var. hondoensis)はエゾマツの変種で本州の亜高山帯に分布する。球果は下向きにつき、完熟しても落果しない。晴れて乾燥すると球果の種鱗が開いて中の種子が風により散布される。球果は5センチくらいの円筒形。

bトウヒ1.jpgbトウヒ2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真の球果は栃木県日光市。種子を散布し終わった球果は果柄が弱くなり、強風などで落下する。

ちなみにトウヒとエゾマツの葉っぱの断面は扁平である。


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クリ [木本C]

クリ(Castanea crenata Sieb. et Zucc.)は 北海道南部から九州までいたるところに植えられ、広葉樹林内にも生育している。二階堂クリの木1.JPG
蔵王町遠刈田温泉のクリ。二階堂家クリ001.JPG

2本のクリの木からとれた果実は大小様々。

クリの果実下半部には大きくざらざらしたへそがあり、上半部は縦にすじが入った光沢のある果皮である。castanea179111.jpg

 

 

 

 

 

 

クリのへその境目の拡大。クリ果皮6境目.jpg

 

 

 

 

 

 

光沢がある堅い外果皮の内側には、毛状の中果皮がびっしりはりついてクッションと断熱の作用がある。クリ果皮1毛.jpg

 

 

 

 

 

 

美味しいクリはヒトはもちろんサルやクマも大好き。写真は山形県小国町のクリ林内で見つかったクマに食われた果実である。一見中身があるように見えるが、裂け目がついて中身はそっくりない。クマはとても上手にクリを食する。kumakui.jpg

 

 

 

 



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