ケンポナシ [木本H]

ケンポナシ(Hovenia dulcis)は本州四国九州の山野に生育する落葉高木。私は川岸で見ることが多く、橋のたもとなどに生えている木は果実が取りやすくて好き。

北海道では奥尻島のみ生育しているらしいが、自然なのか?とってもアヤシイ。果軸は写真のように曲がりくねった形をしていて、先端の楕円形のが果実であるが、実は曲がりくねった果軸が甘くて食べられる。落ちた枝はよくシカなどの動物に食べられて、そのためケンポナシはタネを拡散することができる。

ケンポナシ1.JPG

タネ、つまり内果皮は固くて光沢がある楕円形でへそはちょっと凹んでいる。どうしてこれを掲載したかというと、堆積物中で化石になると光沢が無くなり軟らかくなってウルシ属の内果皮との区別が難しくなるからである。

ケンポナシ2.JPG

ケンポナシ3.JPG

そこで内果皮壁を観察するために、薄片作成上手の東北大植物園のK君に包埋してカットしてもらった。ケンポナシは内果皮壁の最外層が写真のようにとても細い組織がびっちり並んでいることがわかり、柵状組織と言うより繊維状に近い。ウルシ属の内果皮壁との違いが明瞭となった。

ケンポナシx2.jpgケンポナシx20.jpg

拡大すると中層と最内層もウルシ属とは細胞の形がかなり違った。

掲載した試料は茨城県久慈郡大子町袋田温泉付近で採取。


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