モモ(天津桃) [木本P]
モモ (Prunus persica(L.)Batsch)(Amygdalus persica L.)
昨年ご近所の方に頂いた天津桃。かつては沢山つくられていて高級桃として知られていた。中国で見た先端が尖った桃より表面の色が赤く果実が大きい。
割ってみると中果皮に当たる果肉も真っ赤で核は割れやすく、割った時点で仁が顔を出す。
核は現在主流の黄桃や白桃よりも上下端がとがっていて江戸時代あたりまで良く出てくる桃核は大半がこの系統かもしれない。
ジャムにするとほどよい酸味で美味。
ヒメバラモミ [木本P]
ヒメバラモミ(Picea maximowiczii)は八ヶ岳、南アルプス仙丈ヶ岳、奥秩父に自生し、個体数も少ない。八ヶ岳の山梨県側には神社などに植栽されている場合がある。球果は日本産トウヒ属の中で最も小さいとされ、2.5~4.5センチ、ただし南アルプスなどでは5,6センチのヒメバラモミもある。
写真の球果は山梨県。葉っぱの断面は菱形で四面に気孔条がある。
追記:森林総研の勝木氏の研究によると、隔離分布しているヒメバラモミとアズサバラモミは系統的には同一種であろうという見解であった。
また、絶滅危惧種の救済としてヒメバラモミの種子育苗テストが行われ、育成された苗木を2011年12月に古代の森研究舎で2本譲り受けた。冬は-10℃近くになり夏はまあまあ冷涼という八ヶ岳山麓と似た気候である蔵王山麓に元気に育ってくれるといいのだが。(2012冬)
エゾマツ [木本P]
エゾマツ(Picea jezoensis)北海道の針葉樹林の主要構成種。球果は円柱形で4~8センチ、1年で熟す。写真の球果は北海道。
葉っぱの断面は、トウヒ属の中でトウヒとエゾマツだけが扁平で表面だけに気孔帯が2本ある。
ヤツガタケトウヒ [木本P]
ヤツガタケトウヒ (Picea koyamae) は本州の八ヶ岳山麓の一部谷沿いに生育する稀産種で日本の最終氷期の遺存植物と言われている。西岳国有林の群生地に訪ねたが、見渡してもそれほど多いわけではない。球果は4~8センチ。
葉っぱの断面は菱形。
多くの図鑑には、ヤツガタケトウヒとヒメマツハダが別種として取り扱われていますが、森林総合研究所勝木氏による八ヶ岳における数年間の調査で、球果の形態の違いが同一種の年較差であることが判明し、すべての個体がヤツガタケトウヒとなりました。
アカエゾマツ [木本P]
アカエゾマツ(Picea glehnii)は北海道と本州の早池峰山頂上付近のみに生育し、日本の最終氷期の遺存植物と言われている。北海道では海岸付近の湿地の中にも生育し、東北海道では湾内の浮島(海水の上に腐植した植物の塊が浮いている)に数十メートルのアカエゾマツが何本も生育している不思議な島もある。したがって塩水に大変強い植物である。
球果は長楕円形で5~9センチくらい。種鱗の縁は波打っている。
写真の球果は北海道。右は球果基部から見たところ。ちなみにアカエゾマツの葉っぱの断面は菱形で四面に白い気孔条がある。
古代の森研究舎敷地内に植えてあるアカエゾマツの幼木、樹高2メートルくらいだがまだ花が咲かない。
葉は針状で先端が鋭く尖る。枝には全方向に葉が付く。
枝の拡大、葉の付け根を見ると、枝の一部が突出し葉柄がない葉がついているのがわかる。茶色く突出した部分を葉枕(ようちん)と呼ぶ。すべてのトウヒ属に葉枕がある。